対談
第67回:(株)HCI代表取締役社長 奥山浩司(剛旭) ×『日本一明るい経済新聞』 竹原信夫編集長
現在の活動と取組(第2話)
今回は、『日本一明るい経済新聞』の具体的な内容と竹原編集長が現在、行っている仕事の詳細に加え、奥山社長にも現在の仕事、特に新しくオープンしたロボカフェについて、より具体的にお話いただきました。今後の展開などについても検討するという意義深い展開となりました。
宮西: お二人が出会ったのはいつですか?
竹原: 最初に奥山さんにお会いしたのは2015年でした。泉大津商工会議所で講演会があり、その時に、「泉大津に面白い会社があるので取材にいってください」といわれたのです。その当時は、撚線機を取材しました。今の式内工場に行きましたが、数多くのアートが飾られており、この会社の社長は社員を喜ばせるという感性をお持ちだと思いました。その後、ロボットの会社になって、あっという間に会社が大きく成長してびっくりしています。
奥山: 素晴らしいご縁をいただきました、感謝しています。
竹原: あれ以後、私は相変わらず、しこしこと毎月40社、50社の中小企業を取材して、途切れることなく、新聞を発行し続けています。
宮西: 新聞はどこで購入できますか?
竹原: 大阪のジュンク堂さんで購入できます。毎月1日に発売します。最初は200円からスタートして、今は400円です。年間購読5,800円(税・送料込/問い合わせ℡06-6445-7405)
大手生命会社さんや銀行さんも購入してくれます。経営マインドやヒントなどが書いてあるので、好評なんです。
宮西: 月刊で8ページ。フルカラー。毎月、これをお一人で作っているとは凄いですね!
竹原: 一般的に経済新聞は地味で暗いイメージがありますよね。私は創刊の時、『夕刊フジ』のようなレイアウトで作ることにしたんです。一般的に日本の新聞は縦書きですが、当新聞は横書きにしました。最初は8面の紙面を英語にしていたこともありますし、新聞紙の色をピンク色にして「ピンク新聞」といわれていたこともあります(笑)。
宮西: 斬新なアイデアをたくさん採用していたのですね。
奥山: 取材は関西にこだわっているのですか?
竹原: 時々、名古屋や長野の会社に行きますが、基本的に取材ができる範囲の地域です。関西で9割くらいですね。最近コロナの影響でリモート取材ができるようになりましたが、やはりリアルの取材を大切にしています。もちろん北海道や九州でも定期購読をしている方もいます。
宮西: 奥山社長の現在の仕事を教えてください。
奥山: 今年の4月にロボカフェ【HCI ROBO HOUSE】をオープンして感じたことは、サービス用ロボットはサービス業と同じで、如何にお客様に喜んでいただけるかが重要であるということです。更に、竹原さんのラジオ番組に加え、勉強会にも呼んでいただき、皆さんと楽しく会話をしている中で、「ロボットはもっと『個性的』になるべきだ」と感じました。自分は近い将来、ロボットがもっとパーソナルな存在になると考えていますが、それを促進させるにはロボットにも『個性』=『キャラクター性』が必要だと感じています。
例えば、アーム型ロボット(産業用ロボット)は一生懸命働いてくれるけど、無機質で、ロボットという道具でしかなく、使う人の心を動かせないわけです。そこで顔をつけ、キャラクター性をもつことで愛着をっていただく、というような話で、竹原さんと盛り上がりました(笑)。
竹原: 日本のみなさんは技術や精密さばかりに目をむけており、方向性に疑問を感じます。新聞業界に例えると、読者の求めているものを提供するのではなく、自分の手柄のために特ダネを追うような感じです。
奥山: そうなんですよ。産業用ロボットのようなコンマ1ミリ単位で動く精巧なロボットではなく、精度はそこそこでも、安価で、簡単で、導入しやすい協働ロボットが増えており、特に中国のメーカーは産業用ロボットでなく、協働ロボットでシェアをとろうと力を入れています。
竹原: そこがポイントです。中国は冬季オリンピック開催時に選手村で働くロボットを作ったわけですが、お客さんが求めているロボットは何か?親しみやすく、ニーズのあるロボットを凄いスピードで開発していますね。
奥山: 自動車業界では、精密な蓄積された技術を要するエンジンから目を背け、電気自動車にてテスラのような企業や中国のカーメーカーが、世界のシェアを奪ってきましたが、ロボット業界でもそれと同じですね。竹原さんが仰るように、日本ではより精密で高度な産業ロボットを日々開発してきました。確かにそれは凄いことですが、時代は変わりました。今までロボットはカーメーカーや電機メーカーなどの大手企業が導入することで牽引してきましたが、中小企業も人手不足問題・技術伝承の問題などをきっかけに導入が促進されています。そして、色んな業界の色んな業種の方々がロボットを使う時代になりました。そうなるとロボットは道具ではなく、同じ仕事をする仲間(=ロボットフレンドリー)のようになり、愛着がわくと更にロボットを導入しようと考える。それらを実証検証できる場がロボカフェ【HCI ROBO HOUSE】で、ロボカフェではロボットそれぞれに名前をつけて、より愛着がわくように試みています。
竹原: 日本は、昔からアトムやガンダムというロボットが主役の漫画が人気を博してきたので、ロボットとは相性がよく、親和性があります。日本の文化の中でロボットは大切にされてきました。そういう意味でもロボットに求められるのは精密性ではなく、親和性なのです。お客さんに喜んでもらうためには、配膳をするだけではなく、「こんにちは」とか「召し上がれ」などという言葉をかけるようにしたら人気が出ると思います。
奥山: ロボカフェオープン当初は、テレビや新聞、雑誌を見て、地元の人より、遠方からお越しいただく人が多かったですね。しかし、最近はお蔭様で地元の人が多くなってきました。土曜日に店がオープンしている時はお子さん連れも多くなり、非日常の空間を味わい、楽しんで帰っていかれる様子が見受けられます。そして、一番多いのは老若男女関係なくロボット好きの人達ですね。今後、リピーター客を増やすには、もっと楽しく、もっとエンターテインメント性を増やしたいと思っています。AIシステムで、お客様を認識し、会話するロボットもあり、更に充実させます!
竹原: 立派なものではなくてもいいと思います。愛嬌のあるもの。スマホでSiriやAlexaが応対するようなものでいいので、言葉で接客ができたらお客さんは大いに喜ぶのではないでしょうか?
奥山: 流石、竹原さん! 今まで多くの会社の取材をされてきたからこそ感じることですね。
宮西: 具体的に言うとLOVOT(ラボット)みたいな感じでしょうか?
奥山: LOVOTは何か作業をしてくれるわけではなく、便利でもなく、手がかかりますが、その存在に意義があり、可愛らしさから、活力と癒しを与えてくれます。当ロボカフェには、LOVOTハウスがあり、LOVOT(名前:もずくちゃん)がいますが、もずくちゃんに会いに来る人がたくさんいます。
竹原: 可愛い、愛嬌がある、コミュニケーションができるということであれば、お客さんはそのロボットのファンになり、会いにやってくるようになるはずです。(第2話終了)
奥山: はい、既にLOVOTオーナーのオフ会会場になっています(笑)。
コメント
多くの企業や経営者の取材をしてきた竹原さんの「現実を見る目」は、まるで経営コンサルタントのようで、奥山社長のロボットカフェについても貴重な提言をされました。新しいテーマに向かって、ロボカフェにも新しい風が吹きそうです。次回は、いよいよ最終回。どのような未来が開けるのか楽しみです。(最終話に続く)