対談
第38回:(株)HCI代表取締役社長 奥山浩司(剛旭) ×「そのやま」店主 園山真希絵
食を通じて叶える未来(最終話)
ものづくりを実践するお二人の考え方は感謝に始まり、人を大切にすること、そして何か辛いことが起きてもそれを修行や試練としてとらえるというプラス発想に至るまで、多くの場面で共通項がありました。それではお二人の抱負やビジョンとはどのようなものでしょうか? いよいよ最終回になりますが、二人のトークに明るい未来を感じることができました。
宮西: 最後にお二人の抱負とビジョンについて教えてください。
奥山: まずは自分から話しますね。自分の場合は、いつも同じことを言ってますが、世界平和と人類救済が究極の願いであり、実際にやりたいことです。そのために自分にできることはロボットとAIという、やらなければならない与えられた使命があるので、これをしっかりと取り組みたい。ロボットは映画『ターミネーター』のような殺人マシンにもなり得るし、逆に介護施設や建設現場、飲食店に使うこともでき、平和的な仕事に貢献することも可能です。いずれにしても今は深刻な人手不足の問題がありますから、そのような悩みがロボットで改善できると考えています。今、小さな会社は人手不足で倒産している会社もあります。それは今後、益々、加速度的に多くなるでしょう。そこにロボットやAIの利活用することで、世界平和、人類救済に必ずや役に立つと思っています。
園山: 私も全く同じ考えです。奥山社長のおっしゃるビジョンを食の分野で実現したいと考えています。世界平和に至るには、一人一人が健康で幸せであることが大切です。身体が健康であれば、おのずと考え方や行動も軽やかになるでしょう。
今、人が抱えるトラブルは人間関係、お金、健康問題ですが、食を改善することにより、その人の考え方や人格まで変わってくると思うのです。一人一人の根本が元気になり、健全になっていくと、このような問題もおのずから解決していくでしょう。食べ物からよくなってくれば、すべてが変わっていき、よくよくは世界平和にもつながると思います。そのため私は食の分野のアプローチから健康な人を増やし、平均寿命を延ばしたい。ボケをなくしたいと思っています。つまりそれぞれの人の心身の健康を、一番身近な食を通じて、もっとお手伝いしたいと思っています。
園山: 何よりも私自身、「食」を見直したことをきっかけに、人生がプラスに転じましたからね。 そういう意味でも私を救ってくれた「食」を通して世の中に恩返したい・貢献したいという想いが常にあります。それと単純に、誰かに喜んでもらえることが好きなんですね。私の基本的なテーマである「恩返し」「貢献」「好きなこと」がこのお店でできることは、本当に嬉しいですね。さらにかけがえのない故郷「出雲」を感じていただけるような、日本人なら誰もが懐かしく感じるような温かさとかつ新しい料理を創造していくオンリーワンの世界を実現したいと思っています。
実は当店のコンセプトは、「最後の晩餐の前日に選んでいただける店」なんです。最後の晩餐は、大切な家族と家で過ごすのが理想だと思いますが、その前日の外食先は「そのやま」を選んでいただけたら嬉しいし、お客様みなさんを家族と思って大切に接しています。
奥山: 素晴らしいですね。まだまだ道半ばです、今後もいろいろなことがあると思いますが、最終目的に達するまでは、弊社で共に働く社員さん全員に健康でいてもらいたいし、彼らに幸せになってもらいたい。「この会社で働けてよかった」という会社作りがまずは大事で、ずっと継続していきたいですね。今はそれに注力しています。
園山: 一緒に働いてよかったと思われる、会社に入ってよかったと思われるのは経営者にとっても幸せなことですね。同時に今の私の一番のモチベーションは両親に対して恩返しができることなんです。私を大切に育んでくれた故郷はもちろん親や家族に対して、親孝行、家族孝行をしたい。ですから社会貢献をして喜んでもらうのが、親孝行につながるかなと思っています。
奥山: ところで園山さんはスマートでいらっしゃいますが、食べることは食べるのですよね?
園山: もちろんです。たくさん食べていますよ。食べることが大好きですから。
奥山: 自分は毎日、多くの人と会食をする機会に恵まれているのですが、太るのが心配なんです。
園山: 「太る」という考えを捨ててくださいね。それは食材に対して失礼です。その代わりに、「食べたものが栄養になっている。エネルギーになっている」という考えに切り替えるとよいですよ。そのエネルギーを頭に回すという考え方です。脳は莫大なエネルギーを使うので栄養が必要ですからきちんと食べたほうがよいと考えるわけです。また「人は食べたものでできている」といわれますが、確かに根本的な人間性すらも食べているもので変わってくるわけですから、「何を食べるか」を選択することは今後の大きな課題だと思います。
奥山: それは失礼しました(笑)。
宮西: 例えば自分で料理を選ぶときなど、選び方のコツはありますか?
園山: 食べ方についてはさまざまな考え方がありますね。ベジタリアン、マクロビオティック、ビーガン、ケトンダイエット、糖質制限、断食、そして不食に至るまで、多くの方がさまざまな方法を提唱しています。このような選択肢の中で、どれが正しいかというよりも、まずは自分に合った方法、合う食材、そして自分で楽しいと思う食事をされるのがよいと思います。それに加え最もわかりやすくて、簡単なのはいろいろな色のものを食べることです。色は赤白緑黄黒の五色。それに五味。辛味、旨味、酸味、塩味、苦味をバランスよく食べるように心がけるとよいですよ。でもあまりストイックに考えずに。1日に1回くらいは意識して食事をされたらよいと思います。
奥山: それはいいことを伺いました。これから意識します!
宮西: 本日は素晴らしいお話をありがとうございました。(最終話終了)
コメント
お二人の大いなるビジョンは世界の平和と人類救済。異なるアプローチからも到達地点は同じ方向を目指していました。人の役に立つロボットを創り、多くの人の負担を軽減するという奥山社長。そして世界の平和は一人一人の健康からというコンセプトの下、愛と魂のこもった料理を提供し続ける園山真希絵さん。明るい未来を感じられる対談に大いに癒されました。
次号は産業技術総合研究所 研究チーム長 加藤 智久さんです。お楽しみに。