対談
第65回:(株)HCI代表取締役社長 奥山浩司(剛旭) ×フリーランス口腔外科医 岩田雅裕先生
今後の抱負・ビジョン(最終話)
最終回を迎える今回は、岩田先生と奥山社長の今後の展開と抱負についてお伺いしました。またお二人がお互いに感じる印象などもお話いただき、将来的に何か有意義なコラボができるかどうか、その可能性についても語り合っていただきました。
宮西: 岩田先生のビジョンを教えてください。
岩田: 今、私は日本のある大学の工学部の非常勤講師もしており、大学生と大学院生に医療の話をしています。実は医療と工学は密接な関係にあり、今の医療の発展は工学の知識なくしてはあり得ません。それを学生に教えるということが私に与えられた使命です。医療現場は工学の知識だらけです。例えば遠隔医療も、ダヴィンチの手術もロボット手術ですから、工学の知識が必要です。
医療現場は、もともと人手不足ですから、そこをロボットで補う。また今後の世界では、今回のように突発的な感染症が起きるかもしれませんし、紛争が起こるかもしれない。実際に手術ができないこともあるかもしれません。そこで遠隔手術も考慮に入れる必要があると思います。今後、5Gや6Gになったら地球の裏側でも手術ができるような世界がくると思いますので、そういう意味で考えると医療とロボットは切り離せないし、途上国には特に必要と思っています。
岩田: 仮にカンボジアで患者さんがいたときに、私が日本にいながらにして手術ができればいいなと思いますが、私が生きている間にできるようになるでしょうか? いかがでしょうか?
奥山: 先生が仰っている通りで、現在は遠隔といっても、まだまだ試験段階。今後、リモートでロボティクスを実施するには、インフラの整備などをしつつ、通信で繋ぐ技術が必要になりますね。我々、ロボット産業にいる人間は、取扱説明書のないものを扱い、自分たちで新しい価値を創造しているわけです。今後も課題はたくさん出てくると思いますが、それを乗り越えて新しい境地を開いていくつもりです。また、公表していませんが、弊社は黒子として医療系のロボットに携わっています。
奥山: ところで、宏美さんはキッチンカーを買われて人助けのための活動をされているのですね?
岩田(宏): そうなんです。コロナ禍で海外にいけなくなったので、国内でキッチンカーを使い、社会貢献できないかなと思ったのですが、実は大赤字でした(笑)。最初の目的は、家族のもとにも行けない方に対して食事を提供するなどの活動をしたかったのですが、実際、コロナ禍の時には使えませんでした。今、ようやくコロナも落ち着き、行政とタイアップして「心の食堂」を支援することにしました。和泉市の幸町のお寺では月に1回だけ子供さんの食事をお持ち帰りいただいています。先月はドライカレーでした。雨の中100人くらいの人がいらっしゃいました。その活動と何かコラボができないかと思い、私たちのキッチンカーでジュースを配ることにしました。この活動に慣れてきたらそこにロボットをもっていったら、人々が喜ぶのではないでしょうか?
奥山: いいですね!協力させていただきます。
宮西: それでは岩田先生から見た奥山社長について教えてください。
岩田: 忙しそうですね。ロボットの業界は新しい業界だと思います。新しい業界で新しいことをやっているというのは、すごくエネルギーが必要だと思います。とはいえ専門家ではない私にはロボットが発達していく未来がよく見えません。どのくらい発達するのか無限大ですが、それも奥山社長にとってはやりがいがあると思います。
医療に関しても無限の可能性を感じます。どうやったらロボットを使えるのか。社長と知り合ってから更にロボットを医療にどのようにして使えるかを考えています。人間が主体になって、ロボットと一緒になって手術ができたらいいですね。今後は医療においても色々なものを出していただきたいと思います。
奥山: 了解しました。頑張ります!
宮西: それでは、奥山社長から見た岩田先生について教えてください。
奥山: 凄い異端児なんだろうとつくづく思いました(笑)。確固たる信念をお持ちですよね。自分にはとても真似できないと思っています。以前、先生とお話をしたときに、「楽しいからボランティアを続けている」と仰られていました。それが印象的であり、すごい徳を積まれていると思いました。自分も医療の分野でロボットで貢献したいと思うのですが、実際に現場に入ってみますと、人手が足りないにもかかわらず、病院側の細かい規制や理解できないような要望もたくさんあって、戸惑うことが多いのです。これからも先生に色々と相談させていただきたいと思います。
岩田: 医療の現場ではロボットだけで仕事を任せることに高いハードルがありますが、逆に人が全てをする必要もないところもありますからね。
岩田(宏): 例えば問診表を記入するなどロボットやAIが判断してくれたらいいですよね。うちのクリニックにもロボットがいたら嬉しいです(笑)
宮西: 奥山社長はこちらのクリニックで治療も受けていらっしゃるのですね。
奥山: そうです。顎関節症で(笑) これ以上悪くならないようにマウスピースを作っていただきました。
宮西: 岩田先生と宏美さんは奥山社長が提供しているロボカフェに行かれたのですね? 如何でしたか?
岩田(宏): お洒落でセンスもいいし、美味しかった。
岩田: 正直言うと部分的にロボットを使っているのかと思いましたが、調理から配膳までロボットが行うという全体的なシステムに感動しました。
岩田(宏): 子供もすごく喜んでいましたよ。
奥山: ロボカフェではAIも採り入れ、みなさんに楽しく、美味しい料理を食べていただきたいと思っていますし、一人でも多くの方が我が家のように憩える場にしたいと思っています。
宮西: 楽しみですね。岩田先生、宏美さん、そして奥山社長、本日は有難うございました。(最終話終了)
コメント
ロボットと医療のコラボが見込まれる今、さまざまな展開が期待されます。お二人は和泉市と岸和田市というように隣り街に住んでいるだけに、これからの取り組みが実現されることを楽しみにしています。