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社長のコラム

奥山浩司(剛旭)社長コラム

by 宮西ナオ子 Presents

宮西: セミナーは大盛況でしたね。参加したみなさんからすごい熱気が伝わってきました。

奥山: 14:40開始という昼の時間帯でしたが、経営者や会社勤務の方に加え、これからAIを学びたいフリーランスの方や学生さんもいらしてくださいました。それだけ今、AIという先端技術に注目されている方が多いのだと実感しましたね。


宮西: 素人の私でも理解できるような素晴らしい内容でした。
終了後の反響はいかがでしたか?


奥山: 「今までAIに関するいろいろなセミナーを聞いてきたけれど、内容がよくわからなかったが、今回の井元社長のセミナーは本当にわかりやすかった」という声が圧倒的に多かったですね。


井元: 最後の質問コーナーでも、積極的に質問があり、とても活気がありましたね。私もビジネスの現場でどのようにAIが役立つのかということを具体的にお伝えしたかったので、結果としてそれを感じていただき大変光栄に思っています。

宮西: 今回はロボット技術の最先端に挑戦する奥山社長とAIのトップ技術を持つ井元社長との夢のような対談が実現したわけですが、今後、お二人の間でどのような協業が考えられますか?

奥山: 今、産業用ロボットとして普及しているロボットは限られたスペース内で使われ可動範囲が限られています。しかし仕事は限られた範囲だけではなく、自由に動けるロボットでないと価値が少ない。まずはスムーズに動くロボットアームを手掛け、その後に足。どちらもAIを使い、より滑らかに動かしたいですね。

井元: そうですね。御社との協業を考えるうえで、まずはロボットアームがあるのではないかと思います。現段階ではロボットアームの動きは人がプログラミングしているのでしょうが、もっと汎用的に動けるロボットアームの開発を提案できたらと思いました。また2足歩行や4本足歩行など、ロボットを迅速に安全に移動させる方法も研究したいですね。我々の技術には動画から人の動きを分析できるものがあるので、それを使ってロボットの動きをより滑らかにすることも可能ですし、それをAI自身が自ら学んでいくことにより、精度が加速されるのではないかと思います。


奥山: 産業用ロボットアームでは、先端のハンドが重要で、3本指、5本指、エアチャックなどさまざまな種類があります。これからのハンドにはセンサーやカメラそしてAIを搭載してロボット自らが考え、より人間に近い動きができたらいいですね。しかしそれが重くなってしまったり、高額になって実用的でなくなると意味がありません。市場性が大切ですから、みなさんが買い求められるような価格に設定する必要があります。同時に大切なのはスピードです。人間の動作と同じように動いてほしい。市場性とスピードが肝要です。

井元: そうですね。市場性がないと普及するのが難しい。現段階で「AI」というと、みなさん、概念的なことをいうか、あるいはプラットフォームでつないでくださいという。しかしプラットフォームでは、かゆいところにまで手が届かず、研究にとどまってしまいがちです。市場性つまり、どのような価格帯で、どのようなターゲットの人に、どのように提供したら売れるのかを検討する必要があり、見積も大切です。弊社ではその場で概算見積もりをすぐに出せますし、開発のスピードを重視しています。3ヶ月でプロトタイプを作り、最長でも1年以内にシステムを開発します。


奥山: ほう。それは迅速ですね。

井元: 技術者ならば、このような期間で開発すべきなのです。しかし現状では、多くの企業が半年以上、1年を超えて開発しているケースが少なくありません。なぜかというと仕様が決まらないからです。仕様が決まるまでは、クライアントと開発者両者が模索していく必要があります。だから我々は先にプロトタイプを作ってしまうわけです。

奥山: なるほど。我々もスピードを重視していますし、最初にプロトタイプの機械を作っています。トライ&エラーで1号機を製作し、検証後、量産機を製作する。それがないとなかなかよいものはできませんからね。


井元: 今、多くのロボット研究者はメカニズムの視点からロボットがどのように動くかを研究していらっしゃると思いますが、実際に手でさわって動かしてみて初めて問題点も出てくるわけで、それを解決しながら作っていく必要がありますね。
また、そのとき商売の感覚が必要になるのです。決して「金儲け」ではありません。商売になりお客さんがつくということは、求められているものを提供できるということです。そこが社会貢献にもつながっていく部分だと思うのです。

奥山: 確かにその通りです。私がもうひとつ大切だと思うのは、技術の普及と同時に会社の存続性です。社長としての大きな仕事は2つ。一つは社員のモチベーションアップ、そしてもう一つは会社の存続。この2つを重視し適正なコストで会社を維持していくことだと思っています。

井元: 同時に我々の組織はクリエイター集団ですので、アーティスト集団にならないように社員に伝えています。「我々の向かう方向は平和の実現。そのためにクリエイターとしての能力を発揮しよう」という話は月に1回は必ずしていますよ。
そして何よりも、今、我々に必要なのは技術者なのです。日本政府を含め各団体もそのような人を増やそうとしています。我々はマイクロソフトさんとも共同でセミナーを開催し、利益を度外視した地域貢献性、社会貢献性の高い仕事も行っています。例えば昨年の熊本地震で倒壊した熊本城の石垣もAIを使って修復しているところです。(第1話終わり)


コメント
セミナー終了後、まだ興奮冷めやらぬ中での対談では、両社の協業の可能性について、ロボットとAIの開発者の視点から、多くの可能性が検討されました。
具体的にはどのような可能性があるのでしょうか? 
次回、第2話をご期待ください。


<井元剛さんプロフィール>東京都出身。コンピュータ専門学校からフリーランスとして15年以上システム開発に携わり、AI開発に。2016年、株式会社9DW設立。一般社団法人人工知能学会会員、東京デザイナー学院講師。現在は医療をはじめとする各分野でAIの開発。AIによる熊本城の石垣の修復に携わっている。新刊に『平和を願う人工知能~純国産AIへの道~』(産経新聞出版)がある。