対談
第11回:(株)HCI代表取締役 奥山浩司(剛旭) × 熊田篤嗣
ビジョンを現実に紡ぐ(最終話)
二人のビジョンは、よりよき未来に向けて、今、生きている人生の責務を果たすこと。少しでもよい社会を作るように、自分の役割の中で努力している姿は素敵です。
熊田: 日本でのロボット開発は必須です。そこで奥山さんのような方に知恵を振り絞っていただき、研究・開発をしてもらいたいですね。
奥山: いや、そこで必要なのは熊田さんのような「ものづくり」の凄さ、大切さ、大変さを認識してくれて、国政に働きかけをしてくれるような存在です。SIerはどんなに難しい環境を手掛けようとしても、うまくいって当然の世界で、日々研鑚しています。SIerが成長するためには、もっと余裕をもって伸び伸びと開発ができ、ユーザーにもっとロボットについての知識をもっていただく必要があると考えます。それには「ものづくり」環境の整備、啓蒙活動が必要で政府よりバックアップしてもらえることは多々あると思います。
ですから熊田さんには政治の場で活躍してもらいたい。そういう意味もあり熊田さんにはHCIの顧問に就任していただき、ご教授いただいています。
熊田: エネルギーの分野も同様ですが、確かに研究者の努力だけではなく政治の要素も大きいので、ロボットの普及に関しても政治の分野でサポートしていきたいですね。
宮西: それでは、最後にお二人のビジョンを教えていただきたいと思います。
奥山: 人は死ぬまでの間は一生が修行で「ものづくり」をさせていただいているからには、
「ものづくり」を極め、いかに人類救済や世界平和のお役に立てるのか?それを具現化していくのが究極のビジョンだと考えています。
それを政治の世界で行おうとしているのが熊田さんで、何かお互いに惹かれ、お付き合いしているように感じました。
熊田: 奥山さんはビジョンを持って会社を興して次に進んでいるので、お話をしていても共感ももてるし、実現してほしいと切に思いました。
私も政治家としていろいろな方と話しますが、団塊世代の方は貧しい世の中で、戦争で打ちひしがれた日本をどう立て直すかということで頑張ってきた人が多いと思います。でも僕らの世代になると、そのおかげもあって夢を語れるようになった反面、夢だけ見て、地に足がついていないような人もいます。そういう意味では難しい世代なのかもしれませんね。でも奥山さんは夢を語りながら実際に地に足を付けて頑張っていられるので素晴らしいと思いますよ。
奥山: 熊田さんのビジョンは?
熊田: 僕自身は誰もが安心して飯をくっていける社会を作りたいと思います。どのような社会であれ問題は起きるでしょう。それは仕方のないことです。でも僕たちが生かしていただいているのは、両親の世代があり、祖父母の世代があり、ずっと続いてきた生命の糸があったからです。その中で誰一人がかけても今の自分は存在しなかったはずです。そのように、今まで生きてきた人たちが命をかけて守ってくれたバトンを次世代に渡すのが責務だと深く思っています。
奥山: その通りです。自分の幸せだけではなく、社会全体の幸せを考えたいですね。
熊田: 現代社会は食べ物とエネルギーがないと生きていけません。例えば第2次世界大戦の時、日本はABCD(アメリカ、イギリス、中国、オランダ)に包囲され、石油の供給を阻害されました。エネルギーを奪われたときの日本は暴発せざるを得なかったでしょう。このようなことを考え、世界と交渉しながら自国の安全性を確保していこうと思うと、どうしてもエネルギーがないと生きていけない。エネルギーがなければ農具を使えない。原油価格が上がったらサンマ漁にいけない。エネルギーは、自分たちの未来を考えるときに、大きな選択権をもっていますからね。
奥山: 環境破壊やさまざまな弊害が注目されている現代ではありますが、それに対して自分たちが少しでも改善し、世の中をよくなるように努力することが大切であり、この時代に生きる人間の責務だと思っています。そういう意味でも、自分たちは同年代ですから、これからも共に激励し、お互いのビジョンの達成に向けて邁進していきたいですね。
今後もどうぞよろしくお願いします。
熊田: こちらこそ。このようなご縁に出会えたことを感謝しています。
宮西: 素晴らしいお話をありがとうございました。明るい未来は自分たちの責任で作っていくものだと感じました。ありがとうございます。(最終話終了)
※コラム連載は、次回12月より毎月1日更新となります。